┃雇用保険

雇用保険(こようほけん)とは、雇用保険法に定められた雇用保険事業(失業等給付(求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付)と二事業(雇用安定事業、能力開発事業))を行うために国が運営する保険の制度である。かつては「失業保険」と呼ばれていた。
雇用保険の保険者は「国」であり、公共職業安定所(ハローワーク)が事務を取り扱っている。保険料は事業主と労働者が原則折半して負担する。

 

┃国庫負担

雇用保険の失業等給付の原資には、事業主と労働者が負担する保険料に加え、国民の生存権の保障に資するという目的から国庫負担金も用いられる。国庫が負担する割合は、日雇求職者に対する求職者給付(日雇労働求職者給付)は三分の一、日雇求職者以外の者に対する求職者給付(一般求職者給付と短期雇用特例求職者給付)は四分の一、雇用継続給付(育児休業給付と介護継続給付)については八分の一とされる。しかし、求職者給付のうちの高年齢求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付のうちの高年齢雇用継続給付については、国庫負担はない。一方、二事業の運営に対しても、国庫負担はない。
被保険者(加入者)は雇用保険適用事業所に雇用されている者である。なお、離職した者は被保険者ではない。 適用事業に雇用される者は国籍を問わず原則被保険者となる。
退職手当制度が適用される公務員は、退職金によって失業中の生活の保障がなされるため、雇用保険の被保険者とはならない。勤続年数が短いことにより退職手当の金額が雇用保険の一般求職者給付に比して少額である、あるいは、懲戒免職されたことにより退職手当の支給がなされない者については、「国家公務員退職手当法」、自治体が制定する「退職金条例」の規定により雇用保険と類似の給付がなされる場合がある。
[一般被保険者]
雇用保険適用事業に雇用されている者で、下記に規定する者以外を一般被保険者という。

高年齢継続被保険者
65歳未満で雇用され、現在65歳以上になっている労働者。なお、雇用される時点において65歳に達している者は被保険者とならない。高年齢継続被保険者が受給権を得るためには、原則、「離職前の1年間において、賃金支払いの対象となった日が11日以上ある完全な月が6ヶ月以上あること」が必要である。なお、離職の理由は問わない。

短期雇用特例被保険者
季節的に雇用されている労働者(出稼ぎ)など。雇用対策としての観点から特例として被保険者となる。
短期雇用特例被保険者受給権を得るためには、原則、「離職前の1年間において、賃金支払いの対象となった日が11日以上ある月(完全な月でなくともよい)が6ヶ月以上あること」が必要である。なお、離職の理由は問わない。

┃日雇労働被保険者

日々雇用される者、または、30日以内の期間を定めて雇用される労働者(日雇い労働者)のうち、適用区域に居住または雇用される労働者。

┃求職者給付

[受給を受けるための要件]
事業所を離職した場合において、加入期間等を満たし、「失業」状態にある者が給付の対象となる。

ここでいう「失業」状態とは、「就職しようとする意思と、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就くことができない」状態のことである。したがって、「離職」した者であっても、下記の者は「失業」状態ではなく、給付の対象とはならない。

・病気、ケガ、妊娠、出産、育児、病人の看護などにより働けない者
o これらの者については、後述する「受給期間の延長」の手続きをとることにより、働けるようになった時点で給付を受けることが可能である。
・退職して休養を希望する者
   o 60歳から64歳までに定年退職した者で休養を希望する者は、申請により退職後1年の期間に限って受給期間を延長することができる。
・ 結婚して家事に専念する者
・学業に専念する者
   o いわゆる「昼間学生」がこれに該当する。
・自営業を行う者
   o 自営業の準備に専念する者を含む。
・会社の役員(取締役、監査役)である者

 

┃給付される金額(基本手当日額)について

失業したと認定された1日あたりに支給される金額を、「基本手当日額」という。例えば、認定日において20日失業したと認定されれば、「基本手当日額」に20日を乗じた基本手当が支給される。
・基本手当日額は、原則、離職日直前6ヶ月間の賃金(税引前)の総和を180で除した金額の45%〜80%の金額である。なお、上限および下限が規定されている。
・基本手当日額は、離職した理由や給付を受ける者の住所地において区別はされない。
・「賃金」には、いわゆる「ボーナス」や「退職金」は含めない。
・基本手当日額は、毎年8月1日付で見直し(改定)される。
・基本手当日額は、離職時の年齢により上限が異なっている(下限は年齢により異なることはない)。
・基本手当日額の下限(最低額)は1664円である。上限(最高額)は、離職時の年齢が30歳未満の者については6395円、30歳以上45歳未満の者については7100円、45歳以上60歳未満の者については7810円、60歳以上65歳未満の者については6808円、65歳以上の者については 6395円である(2006年8月1日現在)。
・「就業促進手当」の支給金額の算定にあたっては、別途の上限額が定められている。

┃給付を受けることができる上限日数(所定給付日数)について

「失業」状態にあれば無期限に給付がなされるのではなく、給付日数には上限が定められている。雇用保険金が支給される上限日数を「所定給付日数」という。
・「所定給付日数」は、「失業状態であると認定されれば受給することが可能となる最大限度の日数」という意味である。したがって、失業すれば所定給付日数のすべてを当然に受給できるという考え方は誤りである。
・所定給付日数は、被保険者であった期間が10年未満の者については90日、10年以上20年未満の者については120日、20年以上の者については150日である(一般被保険者であった者の場合)。

┃給付制限について

・体力の不足・病気・ケガなどの理由で職種の転換を余儀なくされた場合。(例えば、タクシーの運転手が失明したために退職した場合があげられる。)なお、65歳以上の年齢で退職した場合、実務取扱上「体力の不足」による退職と認定される場合は多い。
・妊娠・出産・育児などの理由により、離職後直ちに受給期間の延長措置を受けた場合
・家庭の事情の急変により離職した場合(親族の死亡・入院・介護など)
・配偶者と同居するために退職し、通勤が困難となった場合。(「通勤が困難」とは、会社までの所要時間が片道2時間以上に至った場合を指す。)

┃求職活動(認定要件)

失業認定がされる要件として、「失業」状態にあるということに加えて、「求職活動」を所定の回数以上行っていることが必要である。「求職活動」とは、以下のものを指す。

・求人への応募(公共職業安定所の紹介によるものであるか否かを問わない)
・公共職業安定所もしくは厚生労働大臣の許可・認可を受けた民間職業紹介機関・派遣会社、公的な機関(雇用・能力開発機構、高年齢者雇用開発協会、地方自治体など)が行う職業相談もしくは職業紹介、セミナー受講、新聞社が主催する合同求人面接会への参加
求人に応募した場合は1回、上記機関での職業相談、セミナー受講については2回、前回認定日から当該認定日前日までの間(4週間)に行っていれば認定となる。

ただし次の場合に限り下記の要件を満たせば認定となる * 給付制限が課せられない場合は、第1回目の認定日においては求職活動を1回行なっていればよい。(通常、雇用保険説明会に出席すれば認定となる)
・給付制限が課せられているときは、待期期間経過後、給付制限期間終了直後の失業認定日の前日までに求職活動を3回行なっている必要がある。
・求人に応募(職安の紹介であるか否かを問わない)し、結果が通知されるまで期間は引き続き求職活動を行っているものとみなされる。
・「就職困難者」は、各認定日ごとに求職活動を1回ずつ行っていれば認定される。
・支給を受ける日数が7日未満の場合、待期期間が満了したということのみの認定を受ける場合は、求職活動を行っていなくとも認定される。
・支給を受ける日数が7日以上14日未満の場合については、求職活動を1回行っていれば認定される。


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